一歩踏み込む日経新聞まとめブログ

何気なく日経新聞を流し読みしていたサラリーマンが、あまりのアウトプット機会の少なさから、記事の内容に一歩踏み込んで色々書いてみようと始めたブログです。

日立、送配電8000億円で買収 スイスABB部門 世界首位に浮上へ

 

日経新聞日立、送配電8000億円で買収 スイスABB部門 世界首位に浮上へ

www.nikkei.com

  

この前の記事にて、日立の財務施策、国内外グループ会社の整理状況から、大きな投資が控えているのではと書いておりましたが、まさかこんなに早く実行されるとは思いませんでした。

gmgmtai.hatenablog.com

 

日立とABBは現在、大詰めの条件交渉を続けているということで、買収金額は6000億~8000億円の間に落ち着きそうな模様。一か月前ほどのニュースリリースではバリュエーション1兆4700億と出ていたので、価値評価の見直しか持ち分比率の変更があったのか日経記事での最終の着地が8,000億円となってました。

日立は12日開催の取締役会で買収方針を確認し、早ければ月内にも最終合意する見通で、スキームは、ABBが対象事業を分社化し、分社した新会社に日立が段階的に出資、数年かけて完全子会社化する方針とのことです。

 

日立、ABBと部門買収協議 英紙報道 パワーグリッド一部か全体

www.sankeibiz.jp

日立製作所は、スイスのABBのパワーグリッド部門の一部あるいは全体を買収することで非公式の協議を行っている。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が複数の関係者を引用して伝えた。アナリストらは同部門の価値を約130億ドル(約1兆4700億円)と評価している。

 

海外のパワーグリッド事業は、いわゆる電気のプラットフォーム産業であり、変電所建設、電線敷設、さらに設備運営を受託し電力網全体の需要と供給を調整する役割を担っています。いま欧州を中心に注目されている太陽光発電風力発電は天候で発電量が大きく変わるため、ITを使った高度な制御システムの需要や、今後は高度な省エネを実現するスマートグリッド(次世代送電網)のニーズが高まっていくことも予想されるため、送配電網を活用した「IoT」事業との相乗効果もターゲットになっていくでしょう。

 現在日立の電力・エネルギー事業は発電設備、送配電・変電設備、再生エネなどを幅広く手掛け、18年3月期の売上高4509億円で営業利益率は6%弱。今後の海外展開や日本での電力自由化を見据え発電事業ではなく、送電網事業を強化することは電力ビジネスの次世代化に不可欠な要素だったと考えられます。

 

ちょこっとだけABBのIRページものぞいてみましたが、かれらの注力分野はどうやら産業用ロボットのようです。よってシナジーが見込めない送電線事業は売却し、工場自動化やロボットといった得意分野に経営資源を集中すると考えられます。

 

ABB公表資料

https://resources.news.e.abb.com/attachments/published/9046/en-US/7B6C920DEB45/ABB-Q3-2018-press-release-English.pdf

Our pioneering technology leadership is delivering solid results across all businesses, particularly in Robotics and Motion and Industrial Automation.

 

それにしても日立の経営企画?部門は楽しそうですねー。間接費カットの実行、営業利益率・ROA改善、からのコア事業を定義しそれ以外の部門はCashに変えて最後に大型投資の実行。まさに強い企業を作っていく一過程を体感できる現場でうらやましい限りです。