一歩踏み込む日経新聞まとめブログ

何気なく日経新聞を流し読みしていたサラリーマンが、あまりのアウトプット機会の少なさから、記事の内容に一歩踏み込んで色々書いてみようと始めたブログです。

ファミマとドンキの蜜月について

しばらくお休みしてしまいましたが、今日は2018年12月22日(土)の朝刊から、ユニーファミリーマートホールディングスの記事を取り上げたいと思います。

 

ユニファミマの3~11月、事業利益2割増

 

 記事サマリー

記事のタイトルはユニファミマの増収について触れられておりますが、記事の結びでは先日のドンキTOB失敗によるファミマ株価の下落についてまでコメントされておりました。サークルKサンクスからの看板替えの際の不採算店舗の閉店、商品内容の見直し、惣菜の新ライン好調、ドンキとのコラボ店が好調等で前年比2割増益と好調を維持しているユニファミマですが、直近のドンキホーテホールディングス株のTOB失敗により市場の反応は一時9%安と冷ややかなものになっております。国内のコンビニエンスストア市場はもはや成長産業ではなく、ドンキのような改革をおこすことが出来る企業の血が入らないと今後の成長曲線は描けないのか、かなり厳しい経営のかじ取りを迫られているようです。 

 登場企業

簡単に登場企業にも触れておきます。ユニーファミリマートホールディングスは、誰もが知っているコンビニ「ファミリーマート」の親会社です。

ユニーは、名古屋に本社を置く総合スーパーを運営する企業であり、コンビニ事業ではサークルKとサンクスを運営しておりました。2017年にファミマがユニーを買収、全国に展開していたサークルKサンクスの看板がファミマに変わっていったのが記憶に新しいかと思います。

ドンキホーテホールディングスも誰もが知っている激安の殿堂ドンキホーテの運営会社で、現在29期連続増収増益を前期で達成し、2020年をターゲットにしていた売り上げ1兆円の大台も、1年前倒しで来年の2019年6月期に到達する見込みであり、今や日本の小売市場でローソンに続いて第7位につけている絶好調企業です。

記事に至る経緯

2017年末にファミマが保有していたユニー株式をドンキ側が40%取得し、愛知県を中心に展開しているユニー店舗の一部をドンキ風に改装し、売り上げを伸ばしておりました。

そして2018年8月下旬に、ドンキ側からファミマ側にユニー株の残り60%の取得の申し出があり、反対にファミマがドンキの株式を20%取得するという、以前の戦略的業務提携に留まらない資本関係を結ぶ方向で検討しているという記事が出ることになります。

 

toyokeizai.net

 そして2018年10月に正式にドンキ側がユニーを完全子会社化する報道があり、ファミマ側がドンキに対して友好的TOBを実施することが明らかになりました。

何故ファミマ側はここまでドンキホーテホールディングスを頼り、ドンキ側はユニーを欲していたのでしょうか。

現在、日本の小売り市場は縮小化する一途を辿っており、小売市場が激戦化していく中で業界No.1、No.2のイオン、セブン&アイHDに対抗していくためにも業界3位のファミマがチャレンジする必要が出てくるのは必然です。今後上位を脅かしていくためにも、ドンキのディスカウントストア、ファミマのコンビニ事業、そしてユニーのGMS(総合スーパー)という流通3大事業をファミマの筆頭株主である伊藤忠を含めたグループ全体の強みとして総動員し、新しい小売の業態モデルをつくっていくという確固たる目標を持っているようです。

またユニーファミマでもGMS事業はドンキに任せて、コンビニ事業に注力したい意向を持ち、かつCVS(コンビニエンス)事業でもドンキとのシナジーを発揮していきたいと考えています。

 

【ユニファミマ中期経営計画】

2018年度の重点施策

2018年度は「新たな成長への攻めの強化」を掲げ、中長期的な成長に向けた基盤整備に注力するとともに、新たな収益事業の創出に向けた準備に着手します。このため、2018年度は投資の大半をCVS事業に振り向ける計画です。経営統合に伴う投資が一段落することから、2019年度以降は基本的に営業キャッシュ・フローの範囲内で投資を進める方針とする予定です。

www.fu-hd.com

 

【ユニファミマ2018年2Q決算説明資料】

http://www.fu-hd.com/ir/library/presentation/2018_2q_presentation.pdf

 

 

 

反対にドンキ側はというと現在420店余りを展開するドンキは、2020年度500店の達成を目指し、GMSやパチンコの居抜き物件への出店を続けてきた背景があり、ユニーを傘下に収めれば、物件を探す手間や多大な出店費用をかけずに500店舗体制を軽々と実現できることになります。しかしながら40%出資という立場では指揮が執りづらく、共同事業はドンキが想定したようなスピード感で進まなかったという事情がありました。

また業界内でシェアを拡大していきたい思惑はドンキ側ももちろん持っており、ファミマとのコラボで規模を拡大し、果てや伊藤忠商事とのシナジーで流通や海外展開でもメリットがあると判断しました。

そして2018年12月に思わぬ形でファミマの出鼻がくじかれることになったのが、ドンキへのTOBの失敗です。今回買い付け価格を6,600円に設定していたファミマでしたが、買い付け期間終了時では6,930円と市場が全く反応しませんでした。ユニーファミマはドンキHDの発行済み株式の20%強を買い付け、持分法適用会社にし役員を派遣する予定でしたが、TOB失敗で役員派遣は見送ることになります。これによりドンキとの資本提携が遅れることになり、ドンキ利益の持分法取込が遅れることが確定し市場が売り反応。ファミマは好調を維持しているのにも関わらず、株価が下落することになりました。 

 まとめ

ファミマ側は、TOB価格のプレミアム算定を誤っていたことを認めるとしてますが、今回のTOB失敗では、株式市場のドンキに対する期待の高さが如実に表れた形になったと思います。今後もファミマとドンキは業務提携をベースに資本提携の道を探っていくとしておりますが、ファミマそして伊藤忠商事は、ファミリーマート事業をドンキありきで戦略を立てていくのか、それとも別の方法で業界シェアを狙いに行くのか。今後も注目に値する企業だと考えます。